リハビリ訪問看護ステーションルピナスの市川雄基PT、平成28年度地域理学療法学会フォーラムに発表します。
2017年01月7日
慢性痛を有する訪問リハビリテーション利用者に対する適切な痛みの自己管理に向けた試み
–慢性腰痛を呈するパーキンソン病患者の事例–
リハビリ訪問看護ステーション ルピナス 市川 雄基
キーワード: 慢性痛・自己管理・身体活動量
【目的】
パーキンソン病(以下PD)患者の慢性痛合併症例は多く,痛みで身体活動量が低下することがある.今回,慢性腰痛を訴えるPD患者の訪問リハビリテーション(訪問リハ)にて,日記による痛みと生活活動の評価に基づく生活指導が痛みの自己管理に有効か検討した.
【方法】
症例はPD(Yahr分類Ⅱ)を呈し,訪問リハ開始3ヶ月前に圧迫骨折を受傷した70歳代女性である.骨癒合後も腰痛が強く,臥床による対処行動が多かった.そこで日記と身体活動量計を用い,痛みと生活活動の関係と身体活動量を評価した.痛みはNumerical Rating Scale(NRS)にて評価した.結果,NRSは平均5.7(Max5- Min7)で,痛みは座位姿勢の多い翌日と,15分以上の散歩で増悪する関係を認めた.身体活動量は軽強度活動(1.5-3.0METsの活動)が平均287分/日で,座位中断(Break)回数は5.4回/hであった.よって15分以内で散歩可能なコースを導入し,連続座位姿勢を抑制する生活指導と,日記にて痛みの自己監視を継続した.再評価は1ヵ月後に行った.
【結果】
NRSは平均3.4(Max5- Min2.5)と減少し,臥床による対処行動も減少した.身体活動量は軽強度活動が平均265分/日,Break回数は6.3回/hと活動量は保たれ,座位中断回数は増加した.
【結論】
日記での痛みと生活活動の関係評価による具体的な生活指導と自己監視の併用は,適切な痛みの自己管理を可能とし,身体活動量を維持した痛みの軽減に作用する可能性が示された.