第52日本理学療法士学術大会に発表いたしました。
2017年05月14日
リハビリデイサービスルピナス木津川の中島主任は、第52日本理学療法士学術大会で発表いたしました。デイサービスでの活動量向上訓練では、3回目の発表です。活動量向上訓練は、効果が確実にでてきているので、しっかりと広めていきたいと考えます。来年は、日本地域理学療法学会学術集会へ分科されます。今度はそこでの発表を目差すことになります。
リハビリ特化型デイサービスにおける活動量向上エクササイズと体力測定の関連性について
株式会社ルピナス リハビリデイサービスルピナス木津川 中島文音 田中仁 藤原健志 中村莉胡
【はじめに,目的】
第51回日本理学療法学術大会にて、リハビリ特化型デイサービスにおける活動量向上エクササイズ(以下活動量向上ex)の効果を報告した。引き続き、健康づくりのための運動指針2006、2013に基づいた活動量向上exを実施する中で、今回は、その結果から得られる運動強度値(以下METs)、その値に運動時間を積算し算出したエクササイズ値(以下EX)と、1ヶ月に1度実施する体力測定の四項目との関係性を調べ、活動量向上exによるMETsとEXが、通所介護事業所における介護予防や要介護状態の軽減に、有用性な指標になるかどうかを検討した。
【方法】
活動量向上exとは、理学療法士により、利用者ごとに作成された起立、足踏み、歩行等、日常生活活動に関連する必要な運動プログラムである。それは、通常の個別リハビリテーションに加えて実施しており、利用者の個々の動作レベルに応じたもので、実施可能な動作から開始するものである。活動量向上ex中は関係スタッフ全員が活動量計(TANITA製カロリズムSMART)を用いてMETsの測定を行っている。それに運動プログラムを実施した時間を掛けて、通所介護利用時の合計EXを求めた。体力測定は、30秒立ち上がりテスト(以下CS−30)、Functional Reach Test(以下FRT)、 握力、長座体前屈を1ヶ月に付き1度の頻度で実施した。平均年齢79.7±8.5の男性36人、女性25人の計61名が対象となった。被検者の平均利用回数は、1.7±0.8回/週であった。起立、足踏み、平行棒内歩行、室内歩行の4つの動作の各METsや、その動作を合計したEXの値とCS—30、FRT、握力、長座体前屈の関係を検証した。検証にあたってはExcel2015を用いて、相関行列にて、相関係数(r)、相関係数の95%信頼区間(CI)、無相関の検定を実施した。
【結果】
各項目での相関分析において、起立時METsとCS‐30に、相関(r=0.43、p=0.004、95%CI0.15~0.65)が認められた。足踏み時MSTsとFRTに、相関(r=0.53、p=0.002、95%CI0.22~0.74)が認められた。室内歩行時METsと CS‐30に、相関(r= 0.65、p=0.00002、95%CI0.41~0.81)が認められた。合計EXと各体力測定項目間での相関関係は、認められなかった。
【結論】
運動指針2013で運動強度METsの有用性があるといわれている中、当デイサービスでの活動量向上exにおけるMETsもしくは、EXと各体力測定項目の相関を検証した。起立時METsとCS−30では相関が認められた。よって起立時METsは、下肢筋力や立位バランス、起立動作に対する運動耐容能の指標になる可能性があると考える。足踏み時METsとFRTで、相関が認められたことは、足踏み時METsは、FRTと同様、動的バランス能力の指標になる可能性があると考え、転倒予防の指標として有用性があると考える。室内歩行時METsとCS−30に相関が認められたことは、下肢筋力とバランス能力の変化が、歩行時の活動性に繋がることが考えられ、屋内移動動作の指標に有用性があると考える。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は、対象者、家族にヘルシンキ宣言に基づいた研究の主旨の説明を行った。そして、通所介護事業所における介護保険サービスの質の向上のための学会、研究会等での使用の同意を得て進行した。また、当施設の倫理委員会に承諾を得て、研究結果を報告、説明し、第52回日本理学療法学術大会への提出に同意を得ている。